どうして祐輔がここに?
「教材、佳那じゃ届かねえだろ? バスケ部のオレが助っ人に名乗り出たんだよ」
そう言いながらこっちへ近づいて来る。
「ちょっと祐輔、こんな暗がりの中で歩き回ったら危ないよ」
「オレは鳥目じゃねえよ。ちゃんと見えてる」
確かにちゃんと見えているらしい。
祐輔は迷いも無く、あたしの背後に立って教材に手を伸ばした。
「これでいいんだよな?」
「う、うん。そうだよ」
あたしは返事をしながら、ドキッとした。
あたしと祐輔の置かれているこの状況って・・・。
暗がりの中、ふたりっきりだ。
しかもあたしの背中に、祐輔の体が密着しているし。
あたしは前を書棚に、後ろを祐輔に挟まれて身動きがとれない。
・・・・・・緊張して、動けない。
心臓が騒がしく鳴り始める。
「あ、ありがと祐輔。じゃ、戻ろ・・・」
動揺を悟られないよう、無理に明るい声を出したあたしの息が止まった。
あたしは突然後ろから、祐輔の両腕に、包み込まれてしまったから。


