―― ドッ ドッ ドッ・・・
自分の鼓動が、驚くほどハッキリ聞こえる。
あたしの手を包み込む、大きな手。
痛みを感じるほどの力強さ。
体温の熱さと、あたしを見つめる視線の熱さ。
その全てに、あたしの心は一瞬で飲み込まれてしまった。
祐輔・・・・・・。
その時スルリと、かがんだ襟元から何かが滑り出る感触があった。
ふと視線を下へ向ける。
そして、あたしの目が「それ」に釘付けになった。
「それ」は・・・・・・
大樹の指輪だった。
ネックレスの先で揺れながら、赤く輝いている。
その赤い光が目に突き刺さる。
目だけじゃなく、あたしの心までも突き刺しそうなほどに強く。
指輪に責められたように感じて、あたしは祐輔の手を振り払う。
そしてペンケースを拾って、急いで廊下へ出た。
少し先で待っていてくれた由依の所へと駆け寄る。
「佳那、どうしたの? 顔が真っ赤だよ?」
「な、なんでも、ない」