「祐輔、おはよう。遅いぞ」

「寝坊したんだよ」


クラスメイトと祐輔の会話を聞きながら、あたしは体を固くした。


視線は、机の上。

祐輔の顔は見れない。


でも全神経は、祐輔に集中してる。

痛いくらいに。


なんだか以前にも、こんなことがなかったっけ?


・・・・・・あぁ、そうだ。


大樹と、告白し合った時。


あの後で、初めて大樹と学校で顔を合わせた時。


あの時もこんな風だった。


目を逸らしながら、意識していた。


急に罪悪感を覚えてズキッと胸が痛む。


あの時のこと、なんでいま思い出すの?

まるで比べてるみたいに。


違う。あの時と今は、全然違うんだから・・・・・・。


―― ぽんっ。


不意に、頭の上に手が乗った。


「よう、佳那」


・・・・・・・・・・・・!


いつもの、祐輔の挨拶。


あたしの胸がパッと熱くなった。