由依と一緒に玄関から職員室へ直行する。
担任にはちょっとだけ叱られたけど、すぐに解放された。
しかも
「おお、奥村は絵の才能があったのか」
って、おホメの言葉までいただいてしまった。
・・・・・・後のことを考えると、ちょっと怖いけど。
だってこれ、よく考えたら描き写さなきゃダメなんだよね?
下描きの用紙を見ながら、旗に。
しかもソックリに。
あたしにそんな高等技術がある?
コピー機、使えないかなぁ? 拡大して印刷したいよ。
できればカラーで。
教室に戻って、自分の席に座ってマジマジとイラストを眺めた。
雄々しく羽ばたく、真っ赤な炎を身にまとった火の鳥。
・・・こりゃ絶対、あたしに再現しろったって無理。
似せて、なんとなーく鳥っぽく描くしかないな。
考えているうちにチャイムが鳴って、みんながパタパタと席に着き始める。
人の動きの向こうに、スッと背の高い人影が映った。
途端に、あたしの心臓がドクンと鳴る。
・・・・・・祐輔だ!


