げー・・・。職員室に缶詰で、先生とマンツーマンでプリント学習ぅ?
それって最悪じゃん。
思わず同情するあたしに向かって、笑顔で鼻血くんは手を振り職員室へと歩き出す。
気のせいか、その背中が寂しそうに見えた。
あたしは反対方向へ歩き出しながら、気になってチラッと振り返る。
鼻血くんは途中で立ち止まり、体育館に向かうあたし達を見送っていた。
あたしと視線が合うと慌ててまた笑顔になって、軽く手を振り歩き出す。
彼の歩き去る後ろ姿を、あたしは見つめていた。
「ねぇねぇ聞いた? 入学式に鼻血出した子、今度の体育祭に出られないんだって」
「聞いた聞いた。スポーツ大会も休んでたしね」
「心臓病なんだってさ。毎日必ず家族が車で送って登下校してるよ」
「あぁ、それで春の合同合宿にもひとりだけ参加してなかったんだぁ」
「なんかさ、メインの行事、ぜーんぶ欠席してない?」
「病気で大変なんだろうけど、影、薄いよねー」


