でもそんな貴重品をお預かりできるはずもなく。
「せっかくですけど、キッパリお断りさせていただきます!」
その申し出は丁重にお断りさせてもらった。
だいたいそんな、笑顔で命にかかわる病気とか言われたって現実味薄いし。
注目浴びたくて、テキトーなこと言ってるんじゃないの?
「佳那、つぎ体育だよ? 着替えないの?」
ちょうど友だちから声をかけられて、あたしはサッサと鼻血くんとの会話を終了した。
そして女子グループに混じって着替える。
着替えを終えたクラスメイトが、次々と体育館へ向かって移動し始めた。
ところが鼻血くんは、制服のままで皆と反対方向へ歩き出す。
「ちょっと、なにやってんの? 体育館コッチだってば」
声をかけたあたしに彼は振り向く。
「ボク、体育は禁止なんだ。お医者さんに止められてるから」
「あ、そうなんだ。見学もダメなの?」
「うん。授業休んだ分を取り返すために、体育の時間は先生と職員室でプリントって決められてる」
「そ、そうなんだ。・・・じゃ」


