「じゃ、じゃあ、今日、私をあの廃倉庫に連れて行ったのは…」


「あんたはファイの血を持っている。

あの倉庫に潜んでいた吸血鬼をおびき出すには最高のエサだ」


吉崎君は当然だろうとでも言うような口ぶりで言った。


「え、エサ?!」


「なんだ、文句でもあんのか」


吉崎君は信じられないとでも言うようだった。


そんなことを言う吉崎君の方がよっぽど信じられないんですけど!



「効果は想像以上だった。これはこれからも使えそうだな」


「は?『これからも』?」


どういう意味なの、それ?


何だか嫌な予感しかしないんですけど!


「これからもあんたには俺の仕事に付き合ってもらう。

ファイの血を活用すれば、かなりの吸血鬼を狩れるからな」


「はっきりきっぱりすっきりとした口調で、よくそんな恐ろしいことを言えるね?!その神経が分からないよ!理解不能なんだけど!」



「おい、駅に着いたぞ」


「無視!?」


やっぱり吉崎君のことは分からない。


私は頭を抱えながら、私たちの町へと向かう電車が来るプラットホームへと向かったのだった。