「確かにファイは非常に稀だ。滅多に見かけることはねぇ。

だが、ファイであることは決して喜ばしいことではねぇよ」


いいか、と吉崎君は人差し指を立てて言った。


「ファイの血は、吸血鬼がいちばん美味だと好む血だ。

吸血鬼の中にはファイの血を求め旅をするものだっている。

つまり、ファイの血を持つ人間がいちばん吸血鬼から狙われやすく、危険だってことだ」


「じゃ、じゃあ、私はどうしたらいいの?」


急に現実に引き戻され、恐怖が襲ってくる。


「吸血鬼に血を吸われたくなかったら吸血鬼から自分の身を守ることだな」


「だから、その方法が分からないのに!」


いちばん肝心なところは教えてくれないの!?


吉崎君は溜息を吐いた。


「だから、俺に頼ればいいんだよ。

吸血鬼は人間に比べるとよっぽど丈夫な体を持っている。

ハンターじゃねぇと太刀打ちできねぇよ」


納得できたような、できないような。


素直に頷くことはできなかった。


「ていうかさ、吉崎君は知ってたの?」


「あ?」


「私がファイだって」


「あぁ。まあな」


吉崎君は後ろ髪を掻きながら真顔で言った。


「あんたが吸血鬼かどうか調べるために吸血鬼発見紙で調べた時からな。

あの時、ピンクの発見紙が黄色に変化した。

ただの突発性吸血鬼症候群ならば、紫色に変化する。

しかし黄色に変化したということは、突発性吸血鬼症候群であり、且つ、その血がファイであることを示している。

それであんたがファイだと分かった」


じゃあ、あの時の頷きは、そういうことだったんだ。


って、ちょっと待って?