「おはよう」


「おはよう」


いつもと同じようにクラスメイトと挨拶を交わして、席に着く。


すると亜美がやってきて、不思議そうな顔をして私に尋ねた。


「どうしたの？うらら」


「へ？」


「だってうらら、すごく嬉しそう」


「そ、そうかなあ？」


でへへ、とだらしなく頬が緩む。


「うわ...何があったの...」


そんな私を見た亜美は完全に引いているようだ。


「ごめんて！引かないで！」


慌てて引き留めると亜美は「本当に何があったの？」と聞いた。


昨日侑也と付き合うことになったことを伝えると、亜美は心底驚いた様子で目を見開いた。


「えっ！？昨日？

早すぎるっていうか、その前に、うららって侑也のことが好きだったの？」


私がこく、と頷くと、亜美はやさしい笑顔で祝福してくれた。


「そっか。おめでとう」


「へへっ、ありがとう」


まるで自分のことのように喜んでくれている。


亜美と友達になれて良かったと思った。


「ほら、彼氏様がいらっしゃったわよ」


亜美が目を細めて小さく笑いながら言った。


「え？」


振り返るとそこに侑也がいた。


「おはよう」


どくん、と心臓が止まったかと錯覚するほど強く心臓が跳ねる。


好きなひとからの挨拶って、破壊力があると思うんです。



ていうか何なのですか、その爽やかさは！


なんで朝からこんなにも穏やかで優しそうににっこり笑っちゃってるんですか！


心の中で大絶叫して、少し落ち着いてから「お、おはよう」と挨拶した。


「亜美もおはよう」


「"も"？あら、私はついでってこと？」


亜美は生暖かい目でからかうように、少しすねたように、侑也に詰め寄る。


「そういうわけじゃないよ」と侑也は穏やかに亜美をなだめた。


あぁ、もう。


侑也を見てから、どくんどくんと心臓がうるさい。