突発性ヴァンパイア・ガール!

それは、吉崎君が渡してくれたあの拳銃。


私はそれを両手で持つと、2人の方に銃口を向けた。


「…うらら、何をするつもりなの?」


亜美は少し焦りの表情を浮かべて言った。


「2人に弾丸を打ち込むだけだよ」


私はそれだけ言った。


吉崎君のほうにちらりと視線を送ると、頷いてくれた。


大丈夫だと言われているような気がした。


俺はここにいる、と。


あんたは1人じゃない、と。



私はまた深呼吸をして、目標を定める。


親指でハンマーを起こし、引き金に人差し指をかけた。



「ちょっと待って、うらら。

その拳銃の弾丸はシルバーブレッドなの?」


「うららは僕たちを倒すつもり?」


亜美と侑也は私にたくさんの質問を浴びせる。


それも当然だと思った。


私が打ち出す弾丸がシルバーブレッドなら、2人は撃ち抜かれた瞬間消滅してしまうのだから。


けれど私は何も答えなかった。


正確に言えば、質問に答えられる余裕がなかった。


質問に答えたら集中が切れ、弾丸が狙ったポイントから外れてしまう気がした。


おそらく、これが最初で最後のチャンス。


これを逃せば、次はない。


私達に、未来はない。


今しか、ない。


私は引き金を引いた。


パン、と乾いた音が響く。


鳥がバサバサと慌てて飛んでいく音が聞こえた。


弾丸は見事に命中し、侑也は倒れた。


「侑也!」


亜美は慌てて侑也に駆け寄る。


「うらら、あなた!」


亜美は私を睨みつけた。


私は何も言わず、もう一度ハンマーを起こし、引き金を引いた。


再び乾いた音が響いて、次は亜美が倒れた。



そして静寂が訪れる。



吉崎君が私の方に近づいてきた。


「これで良かったんだよね?」


倒れている侑也と亜美を見つめながら、そう問いかけた。


「あぁ。よくやったな。

あんたの病気もこれで完治した」


私は緊張から解放されて、思わず腰が抜けた。


安心からか手がわなわなと震え、拳銃は滑り落ちた。


カチャン、と金属と地面がぶつかる音が聞こえた。


そんな私を見た吉崎君は呆れたようにため息を吐いた。


「今腰抜かしてどうすんだよ。

本番はここからだろ?」


「分かってるけど、なんか、気が抜けちゃって…!」


私は今も倒れたままの2人を見つめた。


2人ともピクリとも動かない。


心臓の鼓動が増していく。


私が、倒した…?


2人を…?


倒して、しまった…?