突発性ヴァンパイア・ガール!

あれから色んなことがあった。

初めて学校をサボった。

初めて吸血鬼に会った。

亜美や侑也、吉崎君とお茶を飲んだ。

たくさん話して、たくさん笑って。

楽しかった。幸せだった。

だけど、それは。


「全部、2人の嘘だったんだよね」


それからありもしない噂が広まった。

亜美と侑也が嘘をついたと知った。

私は裏切られた。

何度も悲しんで、何度も泣いた。


「最低だよ、侑也」


侑也は穏やかな顔で私の言葉を聞いていた。


「さっき、侑也は私のことを好きだって言ってくれたよね。

だけど、違うんだよ。

侑也が本当に好きだったのは"橋元うらら"じゃない。

"ファイの血を持つ人間"が好きなんだよ!」


そうなんでしょう。


叫ぶように言葉を吐き出した。


侑也は困ったような顔をして笑った。


「違うよ」


侑也は穏やかな声でそう反論した。


「僕はうららが好きだよ」


何度も侑也は言ってくれた。


「うららが僕のことを友達として好きって言ってくれたのと同じように、僕もうららのことを友達として好きだったんだよ」


好きだったんだよ。


それはいつも私に言ってくれたのと同じ言い方だった。


胸がぎゅうっと締め付けられる。


悲しいのか、苦しいのか、はたまた、嬉しいのか。


感情はごちゃごちゃになって分からなくなってしまった。


でも、侑弥の言葉が本当だとするのなら。


それが侑也の本音ならば。


私達は、やり直せるんじゃないか。


もう一度、友達になれるんじゃないか。



「亜美」


いてもたってもいられなくなり、亜美の名前を呼んだ。


亜美は手に豆を持ったまま振り返った。


「亜美は、私のことを親友とは思っていないみたいだけど。

本当は私のこと、どう思っているの?」


友達だと思ってくれているのか、それとも…。


心の中で様々な予想が飛び交った。


亜美は目を見開いて固まったが、数秒後、答えをくれた。



「最初はただのターゲットだったわ。

けれど最近は、


……友達だと、思ってた」



私は目を見開いた。


嬉しくて、思わず緩んでしまいそうになる口をきゅっと引き締めた。


「そっか」


私はそれだけ言った。


たった今、思いついたの。


吉崎君を救い、侑也と亜美と友達になる方法。


きっと方法はこれしかない。


私は大きく深呼吸をすると、内ポケットからあるものを取り出した。