突発性ヴァンパイア・ガール!

吉崎君が拳銃を撃ったのだ、2人をめがけて。


しかし2人はそれを軽やかに避けると両手を広げた。


そのまま2人は空気に溶けるように、すうっと姿を消した。


すると地面に伸びていた木の陰がぐわりと自然ではない揺れ方で揺れた。


「何、これ…」


思わず声に出していた。


木の陰はぐわりと揺れると、そこからコウモリの形をした黒い物体がいくつもでてきた。


それらは日陰でバサバサと音を立てて不規則に飛び交っている。


そして揺れていた影が地面を離れて立ち上がった。


それは姿を変えていき、元々は木の形だったのが、足が生え、手が生えて、何かの生物のような真っ黒な物体へと変化した。


「また面倒なのを出しやがって」


吉崎君は溜息を吐き、眉間にしわを寄せる。


「知っているとは思うけど、この影に物理攻撃は効かないわよ?」


どこからか亜美の声が聞こえた。


「あぁ、知っている。

そんな基本的なことは」


そう言いながらも、吉崎君の表情には余裕はなかった。


それもそのはず、影がつくりだしたコウモリがひっきりなしに吉崎君を狙い攻撃をしかけてくる。


「コウモリは影だけど、攻撃はできるんだよ」


侑也の声もどこからか聞こえた。


たしかに侑也の言う通りで、コウモリたちはその黒い牙で傷をつけ血を吸い取ろうとしている。


吉崎君はそれらを必死に避けていた。


「数が多いんだよ、クソッ!」


舌打ちをした吉崎君は、私を見ると叫んだ。


「なあ、あんた!」


「はっはい!」


突然呼びかけられて驚きながら返事をする。


「鏡、持ってないか?」


「は?鏡?」


拍子抜けした。

何を言われるかと思ったら、鏡を持っているか、だなんて。


すると吉崎君は少し怒ったように言った。


「持っていたら、出せ。早く!」


私は慌てて制服のポケットに手を入れた。


確か、ここにあったはず。


手のひらサイズのそれを取り出すと、鏡の面を見せた。


すると鏡は光を反射して、コウモリたちに当たった。


コウモリは叫び声をあげながら消えた。


「えっなになに!?何が起こったの?!」


私が声をあげると、吉崎君が言った。


「そのコウモリには物理攻撃は効かない。

けれど弱点はある。

日光だ。

その鏡でコウモリに光を当てて、少し時間を稼いでくれ。

そのあとは俺がどうにかする」


私は吉崎君の言葉にすぐに頷いた。