そこまで智樹が話をすると、凛花はニヤッと笑った。

「それが先生の若気の至りなのかな?ふふっ」


「そういうときに使う言葉じゃないと思うけど。」


「そうなの、私はアメリカで勉強したから日本語の国語はよくわかってない。
だけど、いなくなっちゃった子どもだって先生の子じゃなかったわけだし、問題の女生徒とも付き合ってなかったんだから、悩む必要なんてないんじゃないかと思って。

ただ、研究室を使っていて、誰か来るなんて知らないままトイレにいっただけなんでしょ。
偶然が偶然を呼んだだけのことよ。」


「でも実際はそんなことじゃ済まされなかった。」


「そうねぇ。私だったら、きっと国外追放になっちゃってるかも・・・。
研究室を爆発させてふっとばしたこともあるし、部屋が溶けたこともあったわね。」


「なっ?!!!なぜ・・・君はまだ16だろ。
何をしてたんだ。
それで退学にならなかったのか?」


「ふっとんだのが中学校なら退学だっただろうけど、爆薬の成分を研究してた助教授としての私だから、失敗も大目に見てくれたわ。」


「助教授としての・・・って・・・君まさか・・・。
飛び級したとかいう天才なのか?

そのニュースはインターネットで見たことがある。
若い助教授が研究室をふっとばして・・・職員は無事だったが建物がダメになったと・・・。
まさか・・・あれが?」


「そうなの。リンカ・キブキ(15)って書いてあったでしょ。」


「年までよく見てなかった・・・。しかし・・・ウソだろ。」


「ごめんね。本当なの。
だけど、私はここでは普通の高校生でいいと思ってるし。

だって日本語も家事もぜんぜんできないんだもん。」


「すまない。
僕は君に普通科高校の手続きをしてしまった。

まさか、飛び級で助教授までなってる人だったとは・・・知らないですまされない。」


「いいわよ。
じゃ、普通じゃなかったらどこへ行かされるの?ってことになっちゃうしね。

毎日学校は楽しいし・・・。
特別扱いされるのは嫌だから。
アメリカじゃつまらなかったわ。
時には化け物扱いされてるみたいなとこあったしね。」


「化け物扱いか・・・それはひどいな。
しかし・・・ぷっ、僕とはケタ違いなことをやってしまったんだな。」


「そうよ、150人ほど敷地内にいた職員が命からがらだったんだから、もうあきらめるしかなかったわよ。
けが人続出だったけどね。
兄さんがもどってくるまでには、料理をマスターしなきゃね。」


「そうだな。」