「ドナーってさ」
さっきまでヘラヘラ笑ってふざけていた保の真剣な声が聞こえて顔を上げる。
テレビ画面には心臓移植を待つ一人の少女の特集番組が映っていた。
“ドナーを待つ少女の闘い”
テロップにはそう書かれていた。
「見つかるまでにかなり時間がかかるんだろ?」
ふざけた感じはなく、低く真剣な声。
普段はバカ丸出しなのに、急に真面目っぽくなられると戸惑う。
“病気”の俺に気を使ってるのか?
「ああ、だな」
保は俺の病気のことを多分詳しくわかっているはずだ。
もちろん俺が話したわけじゃない。
親同士仲が良いので、母さんは多分保の母親に話しているはずだ。