「えらいね、全問正解だよ」



「ほんと?やったー!」



パアッと花が咲いたような顔で笑う樹里ちゃんの頭を、優しくなでなでしてあげる。



「頭良いよねー!樹里ちゃん、クラスで一番賢いんじゃない?」



何気無く言った言葉だった。


褒めたつもりだった。


なのに樹里ちゃんは私の言葉に明らかに元気をなくしてしまった。



「ど、どうしたの?何か変なこと言った?」



手を離しながら首を傾げて樹里ちゃんを見る。



フルフルと小さく首を横に振る樹里ちゃん。



「病気だから……学校に行ったことないの」



えっ……?


あ……私。



悲しそうな顔をする樹里ちゃんを見て罪悪感が胸に押し寄せる。



最低だ、私……。



今まで当たり前のように学校に通っていた私にとって、通えない現実があるなんて想像もつかなかった。