「いない、けど」
「えー!じゃあチューしたことないの?」
チュ、チュー……!?
さらに場が盛り上がる。
女の子なんかは、目をキラキラさせながら私を見つめている。
うーん……。
答えなきゃダメ?
し、しかも結城君がいる前でなんて恥ずかしすぎる。
助けを求めるようにチラリと彼の方を見ると、上品な笑みを浮かべながら
「どうなの?」
なんて言って私をからかって来た。
「……ない、けど」
「ぷっ」
ムッ。
吹き出したのは隣にいた結城君。
「ちょっと!笑うことないじゃん」
じとっと見て唇を尖らせる。
“どうなの?”って聞いたのは結城君のくせにっ!!



