ためらっていると樹里ちゃんが“行こう”と言って私の手を引っ張った。
わわ、まずい。
私今、絶対真っ赤だよ。
落ち着け
落ち着け。
「シロー君の彼女?」
その輪の中に入ると、小学校高学年くらいの男の子が私を見てイタズラっぽく笑った。
その声に色んな子が反応してからかって来る。
さすが小学生の軍団。
ぎゃあぎゃあうるさい。
「な、なに言ってんのっ!違うよ」
焦って声が上ずる。
だっていきなりこんな不意打ちってないよ。
「焦ってる〜、あっやし〜!」
慌てて否定するとまたからかわれた。
くそぅ、ませガキめ。
よく見ると足にギプスが巻いてあって、近くに松葉杖が置いてある。
「おいおい。子どもに言い負かされてどうすんの」
結城君が呆れたように笑った。
トクンと大きく鼓動が跳ねる。
至近距離で見ても、やっぱりカッコ良い。
ドギマギする胸をよそに冷静を装う。
「う、だって」
しょうがないじゃん。
彼女だって言われて焦ったんだもん。
恥ずかしかったんだもん。



