莉乃にはまだまだこれから先、長い人生があったはずなのに。
その未来を奪ってしまった。
自分だけ医者になるという夢を叶えて、この世界に生きている。
あの時、俺も死んでいれば……。
神様は不公平だ。
どうして、俺を生かしたんですか?
莉乃が死ぬなら、俺の命を奪ってくれれば良かったのに。
なんで莉乃が……死ななきゃならなかったんだ。
なんで、俺を殺してくれなかったんだよ。
莉乃が助かって、俺が死んでいれば良かったのに。
莉乃の墓石から、大分離れたところにある木の下まで来た。
ここからは、両親の姿が見えない。
その木に背を預けるようにして、ズルズルと芝の上に崩れ落ちた。
それと同時に頬を伝う涙。
腕で目を隠すようにしながら、声を殺して泣き続けた。
後悔の念に苛まれて、とてつもなく胸が苦しい。
心がズタズタに引き裂かれて、音を立てて壊れて行ってるのがわかる。
莉乃。
莉乃……。
もう二度と逢えないなんて。



