ど、どうしよう……。
このまま話しかけてもいいのかな。
向こうは迷惑だって思わない?
ドキドキする胸を抑えようと深呼吸を繰り返すと、次第に冷静さが戻って来てそんなことを思った。
「おねえちゃん、莉乃ちゃんっていうの?」
クリクリした大きな瞳を細めてニッコリ笑う樹里ちゃん。
人懐こい子なのか、また手をギュッと握られた。
「え、な、なんで知ってるの?」
ネームバンドを見たとしても、一年生か二年生の樹里ちゃんに漢字が読めるはずがない。
カタカナでふりがなも打ってあるけど、かなり小さい字だからよく見ないとわからないはず。
「シロー君が教えてくれたの」
「えっ?シロー君……!?」
一瞬誰のことだかわからなかった。



