「もしかしたら、運命の相手に出逢うかもしんねーだろ?」 “な?”と必死に俺を頷かせようとする保。 けど俺は。 「求めてないし」 今でも莉乃のことしか頭にない。 「ずっと思ってたけど……お前、今でもまだ莉乃ちゃんのこと」 聞き辛そうに伏せ目がちに保が口を開く。 「好きだよ」 そんな保にはっきり答えた。 「なんでだよ!10年だぞ、10年!それだけ時間が経ったのに……っ、なんで」 苦しそうに顔を歪める保。 莉乃の話をする時はいつもこうだ。