手から伝わるかすかな振動。 声の主の体は震えていた。 「本当に、良かった……っ!」 耳元に聞こえる嗚咽。 「母、さん……っ俺……生きて、んの?」 顔の筋肉に力が入らない。 声にならない声で絞り出した言葉は、自分でもわかるくらい聞き取り辛かった。 俺は……っ 生きている。 確かに……。 「そうよ……っ!生きてるの!ドナーが……っ、ドナーが見つかったの……っ!」 両手で俺の手をギュッと握る母さん。