次第に遠退いていく意識。



そんな中で



“シロー君、今までありがとう”



莉乃がそう囁く声が聞こえた。



礼を言うのは俺の方なのに。



莉乃……ごめん。


どうか幸せになって。


俺のことは忘れて幸せに。



出来ればこの手でそうしてあげたかったけど、ごめん、どうやら出来そうにない。



ずっと


ずっと


ずっと


これからも隣にいたかった。




それは叶いそうもないから、遠くから幸せを見守ることにするよ。




そして俺は





自分の運命を受け入れるかのように





そっと目を閉じた。