「ちょっと隣のクラス行って来るね」
瑠璃から離れた私は、そう言ってから教室を出た。
神崎君ときちんと向き合わなきゃいけない。
隣のクラスの教室のドアから恐る恐る顔を覗かせる。
神崎君はいつも輪の中心にいて、みんなに囲まれているからどこにいるのかがわかりやすい。
いつも一緒にいる仲の良い友達の姿が見えて辺りを探ると、明るめのブラウンの髪を揺らしながら笑っているのを発見した。
「か、神崎君……!」
ワイワイガヤガヤとうるさい中、少し大きめの声で名前を呼ぶ。
すると神崎君だけじゃなくて、そこにいたほとんどの人がこっちを見た。
う、なんか気まずい。
派手で怖そうなその集団に思わず身構える。
「うお、秋月さんじゃん!」
「ほら、呼ばれてんぞお前」
「告白の返事なんじゃねーの?」
「うっせーなー、ちょっと黙ってろって」
私の姿を見てはにかんだ後、友達に軽くヘッドロックをかけてから神崎君は立ち上がった。