だけどそれと同時に、目の前に迫るシロー君にありえないくらいドキドキした。
「ふーん」
トゲのあるその言い方は、全然信じていないって言いたそう。
信じてもらえないことが悲しくて唇を噛み締める。
「じゃあ莉乃のファーストキス、俺がもらっていい?」
「え……?」
まさかシロー君の口からそんな言葉が飛び出すなんて思ってもみなかった私は、固まったまま動けなかった。
「なーんて、冗談だし」
そう言ったシロー君の瞳が悲しげに揺れた気がした。
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