「……乃っ」
「!?」
後ろから肩をポンッと叩かれてハッとする。
ビックリして体がピクッと動いた。
「当たってるよ。教科書54ページの問3」
後ろからマイがコソッと耳打ちしてくれた。
いけない、私ったら。
机の上にはノートだけが広げられていて、教科書は手付かずのまま置いてあった。
どうやら、シャーペンを握り締めたままボーッとしていたらしい。
「あ、えっと……わかりません」
教卓の前に立つ先生の顔を見ながら、小さくそう呟く。
「素直でよろしい。けど、最初から諦めるのは良くないわね。バツとして後で職員室に来ること。いいわね?」
「……はい」



