病状を聞くのに、これだけ不安だったことがあっただろうか。
「このままだと年を越せないかもしれない」
全身のありとあらゆる場所に強い衝撃が走った。
頭が真っ白になって正常に働かない。
自分がこの場所に存在していることすら幻のように思えて来た。
フワフワして現実味がない感覚が襲う。
年を越せない……。
年を。
年を……。
その言葉だけが頭の中でリピートする。
それはこのままドナーが見つからなければ、死んでしまうということを指していた。
母さんの悲痛な声が聞こえていたような気もするけど、人のことを構っている余裕なんてなかった。
ただ、このままじゃ確実に死ぬ。
そんな考えだけが頭の中を支配していた。



