【シローside】



今日の莉乃はなんとなく元気がなくて、ムリして笑顔を作っているように見えた。



“なんでもない”



キミはそう言ったけど、気になって仕方なかった。



時々ぼんやりしながら遠くを見つめるその瞳。



どれだけ辛くても


莉乃の笑顔を見るだけで


気分が晴れる。



「うーむ」



昔から診てくれているベテランの主治医、佐埜(さの)先生が採血のデータを片手に眉を寄せた。



……多分、良くない結果だったんだろう。


その深刻な表情に、胸騒ぎがして鼓動がドクリと嫌な音を立てる。



「先生、どうなんですか?はっきり言って下さい」



本当は聞きたくなんてない。


聞いて最悪な結果だったら、期待してた分絶望感が襲う。



「そうだなぁ、まず結論から言うと」



心臓がバクバクいってる。


不安と緊張から手が震えた。