「莉乃?」
「えっ?」
西日が差してオレンジ色に染まる病室。
不意に顔を上げた私の瞳に、シロー君のキョトンとした顔が映った。
「なんかあった?ボーッとしてるけど」
「ううん、何もないよ」
シロー君の笑顔を見たから
もう大丈夫。
「俺じゃ頼りないかもしれないけど、悩み事があるなら遠慮なく言って」
「……うん」
ありがとう。
でもね、言えないよ。
「もう体調は大丈夫?」
さっきより顔色も良くなってるし、ちょっとは楽になったみたい。
「莉乃の顔見たら一気に良くなった」
そう言って笑うシロー君の顔は、まだ少し苦しそうにも見えて胸が痛かった。
もしかしたら
私がムリをさせちゃった……?
今日は来ない方が良かったかな?



