「好きなんだって、マジで」 耳元に聞こえる切実な声にズキンと胸が痛む。 私には伝えることが許されないその言葉を聞いて、唇をキュッと噛み締めた。 「やだってばっ!離して!!」 どうして…… そんな簡単に言えるの? 話したこともないのに 私のこと 何も知らないくせに! 「いやっ!」 渾身の力を込めてグッと押すと、なんとかその腕から逃れることが出来た。 「悪いけど、私はあなたのことを好きになんてならないから」 そう言って、顔も見ずにその場から走り去った。