「え?なに!?秋月、彼氏出来たの?」
ドアの近くで話していた私達の声が、たまたま廊下を通りかかった人に聞こえたらしい。
「か、神崎君!!」
瑠璃が大きな声を出して驚いたように目を見開く。
声が大きかったせいで、教室内は水を打ったように一瞬で静まり返った。
「秋月」
低くハキハキした声にギョッとする。
な、なんで私の名前……。
廊下の窓からヒョイと身を乗り出していた神崎君と目が合った。
力強くて抗えないような瞳。
自信に満ち溢れたそのオーラ。
少し傷んだブラウンの髪。
かなり着崩された制服。
耳にはピアスがキラリと光っている。



