「じゃあ行こうか、莉乃」
そう言ってゆっくり歩き出したお母さん。
「みんな、今までありがとう!また来るからね」
「うん、約束だよ!」
「莉乃ちゃんバイバイ!」
「ブス莉乃、またな!」
私への別れの言葉が口々に飛び交う。
みんな自分のことのように嬉しそうで、胸が痛かった。
……シロー君。
あんまり話せなかったけど、顔を見れただけでも良かった。
「3階の302号室」
目が合った瞬間、シロー君はそう口にした。
えっ……?
キョトンとする私。
「ヒマな時遊びに来てよ。待ってるから」
そんな私を見てクスッと笑った後、シロー君は頬をポリポリ掻きながら、恥ずかしそうに言ったんだ。



