「ぜったい……っ、来て、くれる……?」
「うん、約束ね」
そう言ってもう一度小さな体をギュッと抱き締めた。
そして、そっと涙を拭う。
絶対、また会いに来るからね。
しばらくそうしていると
「そろそろ行った方がいいな。そこまで一緒に行くよ」
床に置いた私のカバンを持ち上げて、シロー君は再び樹里ちゃんの手を取った。
ロビーの方からはお母さんがちらちら顔を覗かせて、様子をうかがっている。
「あ、ごめん。カバン持つよ」
大きなボストンバッグには荷物がたくさん入ってて結構重い。
「いいよ。こんくらい、余裕だから」
シロー君はカバンを奪おうとした私の手を遮って、スタスタとロビーの方へ歩いて行く。



