みんなにっこり笑っていて、ゆっくり私のところまで歩いて来る。
「え!?えっと……?あの……っ」
な、なんで……?
樹里ちゃんや他の子には退院のことは言ってないのに。
首を傾げながらシロー君の顔を見る。
ホッ
今日も顔色が良さそう。
綺麗な立ち居振る舞い。
俯く樹里ちゃんの手を引きながら、長い脚を踏み出して一歩ずつ近付いて来る。
「みんなが莉乃に会いたいって言うから」
シロー君はスッと目を細めて、私の大好きな笑顔で笑った。
「ほら、樹里ちゃん」
俯いて顔を上げようとしない樹里ちゃんは、シロー君の手をギュッと握ったまま動こうとしない。



