「何でもないです。すみません」

「あ、こっちこそごめんなさいね。こんなくだらない話に付き合わせちゃって」


ただ聞いているだけだったあたしに、少し我に返りながらお母さんが謝る。


多分お母さんは話好きな性格なんだろうと伺えた。

それはレジでお母さんを見ていても感じていた通り。


「いえ」

「レジでよく見かけてたから勝手に知り合いな気になっちゃってね」

「嬉しいです。あたしもいつもレジで見かけてて笑顔が素敵な方だなって思ってて…」


そんな風に思ってくれていたなんて、願ってもないこと。


ちょうど正面に掛けられた時計を見ると、もう既に6時を過ぎていた。