夢を見ているかと思った。


あたしが…好き?



自分を偽って偽名を使ってまで、自宅に潜入していたあたしを?


そんなあたしに南君は優しく微笑むと、その言葉を肯定するように大きく頷いた。


「…っ、南君っ…―――」


あたしは震える唇でそう言うと、南君の胸の中に飛び込んで行った。

男らしくて、でも優しい、その胸の中に…



「…っと」



南君は少し戸惑った声を出し、不器用にあたしの肩に手を掛けた。