「分かったよ分かったよ!!」


それは美帆の金切り声。

まるで雑誌記者が特ダネをスクープしたかの如くダッシュして。



――あるお昼の時間。

お弁当を食べようと、美帆と机を向い合せにした瞬間鳴った彼女の携帯。


メールだったらしく、画面に目を落とすとあたしにでも分かるくらい目の色を変え『ちょっと行くとこある!先食べてていいからっ――』そんな言葉を残して教室を飛び出してしまったのだ。


先に食べてていい…

そう言われても、一人ぼっちでお弁当をつつくのは寂しい。

まるで友達がいない子みたいじゃん。

だからあたしはお弁当を包む水色のバンダナを解く手を止めて、ボケーっと教室内を観察していたのだった。