「中学時代もみんなあの手この手を使って落とそうとしてたけど、全く効かないもんね」

「そんなに手強いの?」

「そりゃもう」

「南君を落とす為に、あたしに伝授出来ることは――」

「ないっ!!」


ぴしゃりと言い切る美帆。


「そんなぁ……」


美帆にそこまで断言されると、本当に南君を落とす手段はないのだと思える。


好きな人の話をしている時間は楽しくてテンションが上がるのが普通なのに、最近のあたしは溜息ばかり。


今日だって例のごとくつくづく溜息の連続だった。


「100年待っても叶わないね」


ひゃ、百年って。

あたしおばあちゃんだよ。ってか、この世にもういないか…


結婚だってしたいし、出来れば行き遅れたくない。


「南を好きになるだけ時間の無駄ッ!」


そう吐き捨てた美帆に何も言い返せないまま、あたしは咥えたストローをがしがし噛んだ。