「ママぁーっ!」
彩葉と成が笑顔でこっちに走ってくる。
砂の上で、転んだ彩葉。
「うっ……うぇぇーんっ」
砂浜に倒れ込んだまま、彩葉は泣き叫ぶ。
あたしは彩葉の元に駆け寄り、しゃがみこんで手を差し出す。
「倒れても、立ち上がればいいの。ほら」
「ママぁ……」
あたしの手を掴んで立ち上がった彩葉は、あたしに抱きついて泣いた。
「よしよし」
「うわぁぁぁんっ……っく……」
成があたしの顔を見て微笑む。
倒れても、また立ち上がればいい。
何度だって。何度だって。
あなたがつらいなら、手も差し伸べるし、肩だって支える。
だからね、もしあなたがこの先、生きていく中で、
倒れている人を見つけた時は。
苦しくても、どんなにつらくても、
その人がもう一度立ち上がれるように。
そばにいて、
つらいときは、手を差し伸べてあげて。
肩も支えてあげてね。
人はひとりじゃ生きていけないの。
ひとりで頑張ろうとしないで。
助けを求めることは、恥ずかしいことでもなんでもない。
手を握って。
支え合って。
そうやって、苦しいことも、悲しいことも。
たくさんのことを乗り越えていくの。
あなたの人生は、そうやって歩んでいくの。