今日も君に翻弄される。

「はい和泉くんもー、一緒にー?」


やってね、の意思を込めて言葉尻を上げる。


「こーごーせー!」

「嫌だ」


そっけない即答。


……駄目でした。


でも諦めないのです。諦めてなるものか、です。


えええ、と不平を垂れ流して接近。


眉をしかめる和泉くんにじゃれつく。


まずは、深い谷間が形成されている眉間を突つく。


とんとん、とんとん。


しわが寄ってはいけません。


……大分距離が近いのもいけません、が、ささいなことに構ってはもっといけません。


余裕はあんまりないんだけど、和泉くんにもやって欲しくて頑張ってみる。


「やろうよー!」


和泉くんの手を両手で握りしめ、腕ごとぶんぶんと大きく振った。


「(……仕方ないなあ)」


ものすごく、ものすごーく、しぶしぶ頷いてくれて、和泉くんはそっと、じゃれるわたしを外した。


お手本を兼ねて前に出る。


縦に列を作って並び、いくよ、と合図を出した。