今日も君に翻弄される。

わたしは満面の笑みで両腕を上げた。


「こーごーせー!」


せー、だけ音を上げて伸びをしてみる。


うん、いい天気だ。


「んー!」

「…………」


わたしの満足をぶち壊したのは、右側に離れて立つ和泉くん。


こちらに向ける視線が呆れている。


「葵は植物なの? 葉緑体持ってるの」

「…………」


鋭い指摘にわたしは笑顔で凍りついた。


持ってないけど、持ってないけど……!


いいじゃないか、葉緑体がなくたって。


大事なのは雰囲気、あくまで雰囲気。


現実主義者な和泉くんなんて放っておくに限る。


決意を固め、前よりさらに腕を広げて、もう一度大きく伸びをした。