今日も君に翻弄される。

うおあ、……くらくらするよー。


豪奢な内装は、慣れないわたしにとっては目に毒だ。


景色が明滅する。


と、いうか、今幻聴が聞こえなかったかな。


「和泉くんのお部屋に行くの?」


確認の意味を込め、背筋の伸びた背中に問いかけてみると、手すりの上に滑らせていた和泉くんの長い指先が止まった。


木製のその手すりは、つややかに磨かれた焦げ茶色を眩しく反射する。


一連の和泉くんの滑らかな仕草が、随分と手慣れていて、どことなく、和泉くんがこの家で過ごしてきた年月を思わせる。


「うん。駄目?」


至って淡白な肯定といたずらっ子のごとく輝く瞳、


――振り返っての、甘い笑みに。


「だ、めじゃないよ……!」


どうしてか、先ほどの比ではないくらい。


ますますくらくらする。


そう、と、和泉くんはその笑みを深めて腰を折った。


「じゃあ、こっち」


手すりに掴ませた右手は空いていない。


何とはなしに引かれた左手が、赤い頬よりも熱かった。