二つの学校の中間。


付き合い始めの頃に和泉くんが決めてくれた、二人の待ち合わせ場所だ。


考案した場所がぴったり半分の距離なのがいかにも和泉くんらしいから、わたしのお気に入り。


すっかり定着したいつもの待ち合わせ場所で落ち合って、わたしは和泉くんの隣を歩く。


「あのね和泉くん、ご家族に挨拶したいんだけど、」

「いらない」

「…………」


おおう、ばっさり断られてしまった。


じゃあこれだけでも。


「あの、」

「菓子折りとかもいらないから」


……お邪魔、するのに?


またもばっさりなお言葉にへこたれる。


先回り先回り、で断られると悲しい。


礼儀を知らない子だなんて、印象最悪だというのに。


……ご両親はお菓子が苦手なのかなあ。


わたしは和泉くんの彼女です、と、誰にでも公言できる態度で臨みたい。


せめてもうちょっと何か、こう、いらない説明というものが欲しかった。