「が、学校違うから基準も違うよ、きっとわたしの方が、」

「僕の学校の方が偏差値高い」


う、と変な音が自分の口からもれた。


和泉くんはわたしの精神をがんがん削りにきている。


まるで容赦しない。


「よって僕の方がより厳しい環境にある」

「でも」

「したがって僕に負けた葵は馬鹿だ」


理詰めだなんてずるいよ。


和泉くんらしいなあって思っちゃって、何だか反論できないじゃないか。


そういえば、この前の模試でも負けたんだった。


賭けていた高級特大マカロンを奪われたのだ。


本格的に落ち込んだら、「僕も大人げなかった」とクッキーをくれた。


全く、和泉くんはいつも一言多い気がする。


でも優しいときもあるから、ちょっとくらい冷たくてもいいや。


って、あれ。


この思考回路はやっぱりあれか。