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「そういえば葵、さっきからずっと気になってたんだけど、何で砂糖一つだけ残してるの」

「えっ」

「苦くないの?」

「えーっと」

「……僕間違って覚えてた?」

「い、いや、違うよ、全然違うんだけど……!

(だって、お砂糖、入れるのもったいないじゃないか……!!)」

「葵、また何か阿呆なこと考えてるでしょ」

「え、や、お砂糖……」

「早く入れる」

「あ! (入れちゃった……)」

「早く飲む」

「お砂糖が、和泉くんがくれたお砂糖がああ……」

「違うから。提供者はこのお店であって決して僕じゃないから。ほら、早くしないと本当に僕が飲ませるよ」

「え、ほんと!?」

「(何で嬉しそうなんだ……)

 やっぱり嘘。自分で飲んで」

「はーい」

「(疲れた……)」