今日も君に翻弄される。

安堵して緩むわたしの頬に、後輩さんが首を傾けた。


あんまり感情を表に出さないでおこう、と思って、頑張ったつもりだったんだけどな。


嬉しそうなの、分かりやすいかあ。


「秋庭先輩、気になってたんですけど」

「うん?」


手を止めて顔を上げた和泉くんに、こちらに視線を寄越してみせながら。


「もしかして、先輩の彼女さんですか?」

「ん」


あっさり肯定する和泉くんにざわつく皆さんとわたし。


否定とかためらいとか、ないんだ。


ある程度予測はしていたつもりだったけど、目の前で見ると恥ずかしい。


「やっぱり! 彼女さん可愛いですね」

「でしょ」


またもやあっさり肯定した和泉くんに慌てる。


「(和泉くん、それ多分普通にお世辞だから……!)」


このままだとどんどん何らかの誤解を受けそうで、気が気じゃない。


間を持たせるのと、興味とでちょうどよかったんだろうか。


後輩さんは面白そうに質問を重ねた。


「告白はどっちからなんですか?」

「僕」

「ええ!?」


当然わたしからだと思っていたんだろう、後輩さんの驚きようがおかしい。