今日も君に翻弄される。

文句を思っているのが伝わったのだろうか、和泉くんが苦笑した。


「本当にいいの、葵」

「着てくれるの!?」


確認してくれたってことは、いいよってことだろうか。


まさかまさかの、白衣着て実験、了承してくれるらしい。


「着て欲しいんでしょ?」

「それはもちろん、和泉くんがいいならぜひ!」


問いかけに素直に頷く。


「うん、だから、いいよ」

「ありがとう和泉くん……!」


ぱああ、と明るい顔したわたしに、和泉くんがしっかり釘を差す。


「でも本当に本当に臭いから、覚悟してね」

「う、うん」


おおう。


臭いよ、とか念押ししないで欲しい。


決心が鈍りそうになるじゃないか。


いいったらいいのだ。

きっと、多分、そんなに臭くないし。


「行こう、和泉くん」


頷くだけじゃなく、声に出す。


カルメ焼きとべっこう飴がわたしを待っている。