今日も君に翻弄される。

模試で会うこと二回、それから約束してご飯三回、パンケーキ一回、カフェ一回。


この状況、わたしは一般的にデートとやらをしているような気がするんだけど、どうなんだろうか。


敬語もそのうち取れた。


わたしがおそるおそる敬語をやめて話しかけてみたら、和泉さんは軽く目を見張ったけど。


笑って、敬語じゃなく話してくれたんだ。


今日は、特に決めずに何か見ようってことになって、映画館に来ている。


「どれ見ようか」

「どうしようね」


どれも面白そうだから困る。


って、はっ、このシリーズ最新作出てたの!?


それも面白いって噂だし、


「和泉さ、」


間違った……!


いつも秋庭さんって呼びつつ、心の中では和泉さん呼びだったから……!


わああああ!


「ごめんなさい……!」


混乱した頭は、必死に体を和泉さんから離れる方へ進ませる。


勢いよく下げた頭、揺れる視界、回らない思考。


「待って」


逃げようとしたわたしの手を、和泉さんが掴んだ。