今日も君に翻弄される。

『はい!!』


もう考えるでもなく即答していた。


ろくに検証もせずに送信していた。


和泉さん、何ていい人なんだ。


わたし実は方向音痴だから、ひとりで大丈夫か不安だったんだよね。


いつも迷いに迷って会場にたどり着く。


だからそれを考慮して模試の日はすごく早く家を出るんだけど、今日は予想外の手痛い失敗をして遅れている。


この時間だと、わたしの能力では間に合わないに決まっている。


時間割は分からないけど、大抵この時間にはいつも家を出ているからね。


和泉さんが方向音痴だとはなかなか思えないから、一緒に行ったら充分間に合うはず。


本当にどうしようかと焦っていたんだけど、和泉さんが優しくてよかった。


『いつも別れるところで待ち合わせましょう』

『すぐ行きます!』


すでに準備を済ませていた鞄を掴みながら、「いってきます!」とわたしは家を飛び出した。