え。

えええ!? えっと、えーっと、え!?


だめだ、全然理解できない。


連絡先? そんなの教えてお礼になるかな。


でも本人がなるって言ってるんだし、いいんだろうか。


混乱してばかりのわたしを静かに見ていた和泉さんが、そっと目を伏せて。


「すみません」


強く謝った。


断ち切るように、低く、強く、謝った。


遅ればせながら、跳ねた肩を懸命に隠す。


怯えたなんて、思われたくない。


実質怯えてはいない。

怯えてはいないけど、ただ大きな迷いはあった。


混乱のただ中で思い返してみれば、丁寧な語り口の彼にしては珍しく、少し早口だったかもしれない。


どうしたらいいのか分からなくて黙っていると、再び。


「……すみません」


弱々しいそれの意味は、きっと、強く声を出したことに対しての謝罪だ。


和泉さんはそういう人だった。


自分の非を認めたら、黙秘も隠しだてもしない人だった。


……でも違う。