今日も君に翻弄される。

賭けの戦利品のマカロンはわたしをからかうために食べたんだと思うし、

(買うときに二人で割り勘したので、お金を出していて、しかも勝ったからには食べないと損だと結論づけたのも多分ある)

わたしがお菓子を勧めるといっつもいらないって言うし、

飲み物だって甘いものは好きじゃないし。


甘いもの好きじゃないのかな、


じゃあ今回ケーキなんて大抵の場合はお砂糖の権化なものを食べる機会を作ったのは、わたしに合わせてくれたんじゃないかな、


って思ったわたしは決して間違っていないはずだ。


憤然として反論を開始する和泉くん。


「何そのいじめ。何で人が食べてるところ見てなきゃいけないの。見てるより一緒に食べるでしょ」

「う、確かに」

「葵絶対美味しそうに食べるよね? ものすごく嬉しげに食べているところを黙って観察するなんて最早嫌がらせだよね。罰ゲームだよね」

「うっ」

「というか」


和泉くんは寄った眉間のまま、不機嫌な声色で言った。


「たとえ苦手なものだとしても、葵のためなら僕はケーキくらい何個でも食べるよ」


早口に言われて赤くなるのを自覚した。


勢いよく俯くと、さらに追い打ち。